「大塚国際美術館」
この場所の存在を知ってから、行きたいと思いながらも行くチャンスを作れずにいた場所です。
でも、松山へやって来た今が行くチャンスではないかしら!?と。 だって、同じ四国にあるのですもの。
行った感想は・・・、とても価値のある素晴らしい場所の一言。
日本国内で世界中の絵画を体験できる場所です。
もう、激推し?爆推し?どちらの表現が正しいかわかりませんが、とにかくチャンスがあれば行くべき場所の一つであります。
大塚国際美術館とは
「大塚国際美術館」とは、徳島県 鳴門市にある世界初の陶板名画美術館です。
オロナミンCやポカリスエットを作っている大塚グループが創立75周年記念事業として設立し、鳴門海峡の白砂を使って焼き上げた原寸大の陶板名画の数々を展示しています。
当然のことながら、作品自体は本物ではありません。
が、ピカソの子息や各国の美術館館長らによる検品を受けた、お墨付きの作品が惜しげもなく展示され、その素晴らしい展示の数々に来場者は圧倒されることでしょう。
大塚国際美術館の特徴
「大塚国際美術館」の特徴を挙げるとすれば、大きくは以下の3つではないかと思います。
- 陶板画(焼き物)である
- 世界各国にある有名な絵画を一度で見ることができる
- 現在は失われてしまった作品を見ることができる
実際にどんなところなのか、これらの特徴と合わせ少しご紹介します。
1. 陶板画(焼き物)である
「大塚国際美術館」で最も特徴的なことは、陶板画を展示していることです。
そもそも、キャンバスに描かれているものを焼き物で再現すると考えただけで、オリジナルの絵とは明らかに違うのではないかしら? と思うわけで、しかもそのサイズは原寸大だと聞けば、そのサイズをどうやって作るのか?
いろいろ疑問に思いながら、実際に見てみると・・・。
((((;゚Д゚)))))))
凄すぎ!
キャンバスに書かれているのか、陶器なのかの違いすら分からないのですけれど!!
そして、その精巧さも驚きです。
絵の再現性もさることながら、大きな陶板を作る技術にも驚かされます。大きな作品になると、一辺が1m以上もある陶板を組み合わせて作られているとのこと。しかも、作品は1000以上もの膨大な数。
日本人って凄いわ〜、とシンプルに思いました。
この陶板は、大塚オーミ陶業が手掛けています。(大塚化学と滋賀県信楽町の近江化学陶器が合併して出来た会社)
絵自体は、本物の絵画を陶板に転写して焼き上げ、油絵のような絵具のタッチなども技術者の手仕事で再現しているのだそうです。
ドラクロワ「民衆を導く自由の女神」 (B1F)
とても迫力がありました。
縦にうっすらと入った線が、陶板の継ぎ目。縦が2m以上、横幅3m以上の大作です。
また、陶板画は劣化や退色がなく、ほぼ永久に残ることも、文化財の保存に大いに役立ち貢献するものと考えられています。
さらに、絵に近づくことや写真を自由に取ることも可能で、まさに絵画を体験することができる場所でありました。
2. 世界各国にある有名な絵画を見ることができる
ここに来れば、世界中にある有名な絵画を見ることが出来ます。
26か国190余りの美術館が所蔵する、至宝の西洋名画1,000余点が展示されています!
世界各国にある190余りの美術館を、自分で回るのは一生かかってもできなさそう。そう考えると、この美術館の価値がわかります。
展示順にも工夫がされています。
入り口を入って長いエスカレータで上に上がると、そこにはバチカン市国のシスティーナ・礼拝堂が見えて来ます。もうこれだけで、すごい。
ここからは、各階の紹介を絵を交えて。
地下三階は古代、中世の絵が中心
宗教絵画が大半を占めるエリアです。
ミケランジェロ バチカン システィーナ・ホール (B3F)
ミケランジェロが描いた天井画と壁画をそのままの大きさで再現!
ミケランジェロは、4年の歳月をかけてこの絵を描き上げました。足場を組んだ板の上で横になりながら描いたと言われていますが、実際には立って首をそらした体勢であったと確認されています。その為、その体勢のまま固まってしまったのだとか。また、天井からしたたる絵具で失明をしたとも言われています。
正面の絵は「最後の審判」ですが、中央からやや右下に人間の抜け殻(皮)が描かれています。
仕事で精魂尽き果てた、ミケランジェロ自身だと言われています。
写真中央のオレンジ色の布を纏っている女性は、デルフォイの巫女。
大きさのサンプルとして床に置かれていたのですが、私の身長よりも高いものでした!
最初の展示からこの迫力で、その後もどこで休憩を取ったらいいのかわからない。
エル・グレコにボッティチェッリ、レオナルド・ダ・ビンチにレンブラント、フェルメール、モネ、ゴヤ、ゴッホ、ドラクロワ、ルノワール、ムンク、ピカソ、シャガール、ダリ・・・
地下3階から地上2階まで、漏れなく見て回れるのでしょうか・・・。
ジョット スクロヴェーニ礼拝堂 イタリア (B3F)
青の世界と床のモザイク模様が、異次元の空間に迷い込んだような気分させられました。
地下二階、ルネサンスとバロック
フェルメール「真珠の耳飾りの少女」 (B2F)
フェルメールもフェルメールギャラリーとして場所が確保され、私たちが一度は見たことのある他の絵も展示されています。
他に、ボッティチェッリの「ヴィーナスの誕生」、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」、フランダースの犬の主人公ネロ少年が見たかったリューベンスの「キリスト昇架」など、ルネサンスとバロック絵画を中心に、どこかで見たり聞いたりしたことのある作品が目白押しでした。
地下1階、バロックと近代絵画
ゴッホ「種撒く人」 (B1F)
ゴッホ独特の油絵のタッチ(絵具の凸凹)も再現されています!
もちろん、「ひまわり」(後述)に「自画像」も展示されています。
クリムト「接吻」 (B1F)
ゴヤの「黒い絵」シリーズが飾られた部屋もあり、何やら近づきたく無いオーラが!?
印象派の絵の多くはこちらで見ることが出来ます。
マネにルノワールにミレーはこちらで。ムンクの「叫び」も見逃してはいけません。
1階、2階は現代とテーマ展示
地上階の見学は、本館になります。
地下一階から地上二階まで上がり、そこから1階へ下りるルートが設定されています。
ユトリロ「ノートルダム」 (2F)
白の時代の絵ではありませんが、独特の色使いです。
他に、シャガールやクレーなどまだまだ見るべき絵が出て来ます。
ピカソ「ゲルニカ」 (1F)
一階で展示されています。危うく見落とすところでした。
ここまで来ると疲労感はなかなかのもの。心なしか、絵を鑑賞する人の数も少ないような・・。
「ゲルニカ」まで行き着けたら、ほぼ完走です。
とにかく世界中を旅せずとも、名画に触れることのできる場所なのは間違いありません。
限られた時間しかなければ、作品を絞って鑑賞することは必須です。(絞るのも難しいですが)
3. 現在は失われてしまった作品を見ることができる
二番目にあげた特徴が長かったので、もう記憶が薄れていたかと思いますが、特徴の三番目は、
既にこの世に存在しない作品も、陶板画で再現されていることです。
ゴッホ 「ひまわり」 (B1F)
ゴッホは生涯ひまわりの絵を7点描いていました。
そのうちの一点は日本の芦屋にあったものの、1945年第二次世界大戦中の米軍の空襲で焼失したそうです。
その陶板画をここで見ることが出来ます。
もちろんそれ以外のひまわりも揃っているので、全ての「ひまわり」を一度に見ることが出来ます。
レオナルド・ダ・ヴィンチ 「最後の晩餐」 (B2F)
レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたキリストの「最後の晩餐」は、修復前と修復後の絵を同時に鑑賞することが出来ます。
決してあり得ない状況を作り出せるのも、ここならでは。
エル・グレコ 「祭壇衝立」 (B3F)
19世紀初頭に戦禍で破壊されてしまった祭壇を復元しています。絵から出てくる迫力が凄かったです。
こちらは、美術館入ってからまだ3つ目の部屋です。
作品すべてを写真に撮っていたら、スマホが大変なことになってしまうと、ここからは写真撮影のペースは落としました。
まだまだこんな展示も
たくさんの展示がある中で、初めて見て驚いた物があります。
ポンペイ、イタリア 「秘儀荘」 (B3F)
紀元前2世紀ごろに建てられたヴィラで、ポンペイのヴェスビオ山の噴火(西暦79年)により一瞬にして灰に埋もれた場所ですが、1909年に発見され発掘に至りました。
私が引き付けられたのは、描かれている内容・・ではなく、使われている背景の色。
この印象的な赤を、「ポンペイレッド」と呼ぶんだそう。
パソコンでこの色を使うならば、ポンペイアンレッド(webcolor:#ca3a28 RGB:R(赤):202 G(緑):58 B(青):40)です。
紀元前の時代にこんなに色鮮やかな赤色があったのが驚きでした(ネットで調べてみると、オリジナルは赤と黄色が混在した色で、噴火の熱とガスで変色したとの調査結果もあるようです)。
鮮やかでありながら、落ち着いた深みも感じられる色で、しばし見惚れました。
イタリアのポンペイは、行ってみたいと思う場所の一つです。
そしてもう一つ忘れてはならないものが、B2Fにあります。
モネの「大睡蓮」。
地下2階のカフェでの飲食で、池の周りに置かれたテーブルが利用可能ですので、お天気が良ければ屋外の席でゆっくりするのもお勧めです。夏の季節には、本物の睡蓮の花も楽しめます。
美術館は、山をくり抜いて建てられています。
その為、山裾にある入り口が地下4階のイメージでそこから上にあがった地下3階から見学をスタートします。見学ルートは、地下3階から上へ上へと進んでいくことになります。
公式の鑑賞ルートは4Kmとなっています。歩きやすい靴で出かけましょう。
大塚国際美術館への行き方
所在地
〒772-0053
徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦字福池65-1
バスでの行き方
車を利用しない場合は、直通高速バスを利用することとなります。(徳島駅からなら、路線バスも利用可能です)
高速バスは、兵庫、大阪、京都、岡山、香川、広島県から徳島駅行きが出ており、いずれも美術館の入場券と往復のバス代を含んだセット券が出ているので、それを利用するのが良いです。(500円お得です)
ちなみに、香川県高松市からのバスセットで向かった私ですが、高松線は行き帰りともに一日一便です。乗り遅れ注意です。(2024年秋 7,000円/人でした)
行き 高松駅高速BT 9:40発 大塚美術館前 11:00着
帰り 大塚美術館前 16:24発 高松駅高速BT 17:43着
チケットは、高松駅高速バスターミナルの窓口で購入できます。JR高松駅の南口を出たところになります。
「大塚国際美術館」は、キャンバス画の展示ではありませんが、そのクオリティや規模は想像を超えたものです。これだけの名画を一度に見れる場所は世界中どこを探しても存在しないので、絵に興味がある人だけでなく無い人も是非一度訪れてみてください。
私の、激推し爆推しの場所です。
(愛媛県ではありませんが・・・)
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