誰もが一度は目にしたことがあると思います。
淡くて柔らかな色合いに優雅な女性の絵。

アール・ヌーヴォー時代の画家の代表、アルフォンス・ミュシャの作品展が、愛媛美術館で開催されています。
地方で開催される作品展は、東京と比較すると観客数が少なく自分のペースで鑑賞できるのでおすすめです。
愛媛美術館特別展示
愛媛美術館は松山市の中心部、松山城のある城山公園内にあります。
公共交通でのアクセスも良好な場所。
松山城を観光した後、美術館へ訪れることも可能です。
さらに、ターミナル駅の近くあるので、美術を鑑賞した後に他の都市への移動も容易。
旅のスケジュールへの組み込みも、結構簡単にできるのです。
そんな松山中心部にありアクセス抜群な愛媛美術館で、アルフォンス・ミュシャ展が、現在開催されています。(2025年6月22日(日)まで)
アルフォンス・ミュシャ展
アルフォンス・ミュシャはチェコ出身の画家で、アール・ヌーヴォーの時代に活躍しました。
19世紀末にドイツで発明された印刷技術であるリトグラフ(石版画)の技法を取り入れ、絵画を庶民にも広める役割を果たした人物でもあります。
細かな筆のタッチと淡い色合い、美しく施された装飾に、優雅でありながら憂いを帯びた雰囲気の女性達の絵は、画家の名前は知らなくとも、目にしたことがある人も多いはず。
私も他にもれずミュシャ(チェコ語ではムハと読みます)の絵は好きで、ポストカードを部屋に飾っていたこともあります。
けれども、詳しいことは知らぬままとなっていました。
今回の展示で、ミュシャの活動の奇跡はもちろん時代に果たした役割などについても知ることが出来ます。

誰でもが絵画を
ミュシャの功績で最も大きなことは、
絵画を一般の人の間にも広げた
ということです。
それまで「絵」といえば、クライアントに依頼されたものを一点作成する・・というスタイルで、お金持ちや身分の高い人の間でのみ鑑賞されるものでありました。
それが、大量生産が可能な印刷技術が発明されたことにより、誰でも買える価格の装飾パネルを制作することが可能となりました。
私は美術のための芸術を作るよりも、大衆のための絵の製作者でありたい
と考えていたミュシャは、リトグラフの手法を取り入れ、その作品は多くの人々のあいだで人気を博すこととなったそうです。
広告としての利用
産業革命という時代背景も、ミュシャの絵を広めるきっかけの一つになったとのこと。
産業革命により大量生産が可能となったのは、印刷物だけでなくあらゆる商品についても同様でした。
その大量に生産された商品を宣伝する方法は、ポスターが主流であった時代。
ミュシャの華やかな絵は、商業用のポスターとしてもとても人気がありました。
商業ポスターには必ず商品を宣伝する文字が入っているものの、そのポスターもアート作品としてコレクターの収集アイテムとなり、増刷されていったそうです。
彼が手がけた商業ポスターとは、例えば、お酒にタバコ、食品、香水、自転車・・・などなど。
シャンパンのモエ・エ・シャンドン

チョコレート会社のカレンダー

ミュシャが有名になったきっかけでもある、サラ・ベルナールが出演する演劇ジスモンダのポスターは入ってすぐの展示です。(このポスターの成功によって、ミュシャもサラも一躍有名となり、その後6年もの契約を結んだそう)

商業ポスターとしての絵の利用は商品の宣伝はさることながら、画家としての知名度も上げることとなり、双方にとってウィンウィンの状況を作り出したのです。
生活に華を添える絵画
ミュシャの絵は、生活の中でも取り入れられる場面が増えていきました。
宣伝用に作成された大型のポスターを元に小さなサイズのものが作成される様になり、中でもポストカードはその時代人気のあったアイテムの一つだそう。19世紀末〜20世紀はじめは「ポストカードの黄金時代」とも呼ばれているのだとか。
ポストカードも、初期のものは絵のスペースが小さいのですが、

年が経つごとに絵の割合が多くなっていました。

他には、レストランのメニューの挿絵を手がけたり、

商品パッケージのデザインにも施されていました。

こんな素敵な缶は捨てられない。
装飾デザイン集の作成
展示を見て知ったのですが、学生・デザイナーらの要望に応え、装飾デザイン集を作成していました。
「装飾資料集」・「装飾人物集」からの絵も多数展示されていました。

美術を志す人にとって、大いに参考になることでしょう。
人生の後半生
パリで活動を開始したミュシャですが、人生の後半は故郷チェコへ戻り祖国のための活動を主としていたとのこと。
当時成立したチェコスロバキアのために、切手や紙幣のデザインも無償で行ったと記されていました。

地方へ出かけた際には美術館へ
昨年、ここ愛媛美術館で開かれていたシルクロード展へも足を運びました。
その時にも思ったのですが、今回ミュシャ展へ訪れて再び感じたのは、
地方で開催される展示は、自分のペースで鑑賞できる
ということです。
東京で美術展へ出かけると、人が多くてなかなかゆっくり見ることができません。
が、地方だとゆとりを持って絵を眺められるのは、間違いないと思いました。
私が出かけたのは平日の昼間なので、そもそも人は多くない時間帯でありますが、誰に遠慮することなく好きなペースで好きな様に鑑賞することが出来ました。

ミュシャ展に関していえば、昨年東京で展示が行われており、今年、愛媛へやってきたと思われます。話題になっているオンタイムでの鑑賞とは行きませんが、地方での鑑賞はおすすめです!
旅先で自分のお気に入りの展示会が開催されているなら、迷わずお出かけしてみましょう。
美術館の入り口入ったところで、グッズ販売もありますからね。
愛媛美術館情報
開館時間:午前9時40分から午後6時まで(入室は午後5時30分まで)
休園日:月曜日(祝日の場合その翌日)
入園料:無料
アクセス
〒790-0007 愛媛県松山市堀之内
tel:089-932-0010
市内電車 南堀端(愛媛県美術館前)より徒歩3分
JR松山駅・松山市駅より徒歩10分
車でアクセスするなら、県庁西駐車場が2時間まで利用可能(満車の場合はコインパーキングなどへ)
美術館を出ると、正面に松山城が見えますよ♪


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